公益社団法人日本鉄道広告協会 会長 新井 良亮 |
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コロナウイルス感染が猛威を振っていた昨年に比べ、現在はおおむね収束しつつあると言われているが、誰しもが安心して日々の生活を暮す状態には至っていない。ある一定の節度と緊張感を持って生活することが求められている。一刻も早くコロナ感染が終息し以前のような平穏な日常を取り戻したいと願わずにいられない。
しかし、ロシアのウクライナへの軍事侵攻により、これまでより一層厳しい環境に置かれ、社会の様相はますます厳しい状況になっている。
鉄道はこうした大変厳しく大転換の時代に開業以来150周年を迎えた。人口減少による地方の鉄道やコロナ禍による影響を受け、JR各社でさえ赤字経営に直面した。鉄道事業を取り巻く経営環境はコロナ禍が終息したとしても、人口減少や少子高齢化のため以前のような状態に戻ることは難しいのではないかと言われている。しかし、鉄道事業は開業以来多くの危機に直面し、その試練を見事に乗り越えて来た。必ずや再生・復興し、十二分に本来の使命を果し、役割を担って行くことができると確信している。鉄道事業に対する地域や利用者等が寄せる、基本的な使命感や役割は何ら変っていない。すなわち鉄道事業は開業時の原点に立ち戻り、地域の期待や利用者のニーズに的確に応え、その一つ一つに解を出していくことである。次なる50年にむけて歩みを止めないことに尽きる。
鉄道事業のフィールドで事業を展開している鉄道広告にとって、この間の厳しさは鉄道事業と何ら変わりはしない。鉄道広告は鉄道事業がいかなる状況下にあろうともそれに平仄を合わせることなく本来の役割を堅実に果たしていくことである。
現在は大転換の時代であり、情報化の時代でもある。特に企業においては経営のあり方や考え方、働き方に至るまで大きく変ってきたし、個人レベルにおいても人生観、働き方、価値観、死生観等々に至るまで変ってきた。こうした社会・生活場面における変化は、振幅の大小はあるにせよ、止むことなくむしろそのスピードは一層増すようにさえ感じられる。
この変化にピンチと考えるのではなく、むしろチャンスと捉え、発想の転換、すなわち前向きに積極的に取り組むことが必要ではないだろうか。
景気は厳しかった一時期に比べ緩やかな回復基調にある。これを好機と捉え反転攻勢に転ずることである。そのためには、まず組織における経営方針を徹底し、いかに時代の先取りをしていくかに掛っている。
今年は、活力のある協会づくりや委員会のより一層の活性化に注力していきたい。
会員各社の皆様には次なる項目について重点課題として最優先して取り組んでいきたいと考えていますので、会員皆様方の絶大なるご尽力をお願いしたい。一として、広告価値向上、二として新規分野の開拓、三としてデザインをはじめとする質的向上、四として企業・地域間連携、五、環境をはじめとする脱炭素社会の実現などを重点的に取り組んでいただきたい。これまで取り組んで来た諸施策に加え、これらの一つ一つの課題を着実に実現することがマーケットのニーズに応えることに連がるし、鉄道広告の復権になると考えている。
社会が徐々にではあるが回復基調にあるとは言え、厳しい状況であることには変わりはない。
会員各社・各位の皆様方と一致協力してこの難局を乗り超える一年にしていきたい。是非とも皆様方からの絶大なるご支援と協力を賜りたい。
終りに、会員の皆様方のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。よろしくお願い申し上げます。