公益社団法人日本鉄道広告協会 会長 新井 良亮 |
![]() |
2024年を振り返りますと元旦の能登半島地震に見舞われたうえに、8月には集中豪雨が襲い地震と同様な甚大な被害に見舞われました。その後も各地において地震や集中豪雨等々、大災害の1年であったと言えます。
日本経済は緩やかな回復基調にあり、内需中心に底堅く推移して来ました。物価の上昇を踏まえた実質賃金は前年比プラスとなり、個人消費は実質賃金の回復や家計の節約志向の緩和から、緩やかながら持ち直しています。因みに2024年度のGDP成長率は1.3%で名目は3%の上昇が見込まれています。
これまで鉄道事業は社会、経済のインフラとして役割を充分果たし、日々の社会生活の必要な顧客や物資を輸送し、産業の発展に欠くことの出来ない生活基盤としての使命は今も基本的に変わっていません。この大転換や激動の時代と地球温暖化の観点からも、その役割や期待は一層増大しています。
従って、鉄道事業が直面する危機の今日的意義は、既存の思考や発想ではなく、大変化や激動の時代のなかで生起する社会現象やマーケットニーズを的確に捉えて、スピード感を持って具体的な事業戦略を展開していくことにあります。
鉄道事業と密接な関係にある鉄道広告事業は鉄道事業と同様、依然としてコロナ禍前の状況に回復していません。
しかし、広告業界全体では既にコロナ禍前の規模を越え順調に年々収益を伸ばしており、特にインターネット、WEB、SNSの領域が顕著です。これほどの収益規模があると言うことは、鉄道広告は悲観することはないし、活力を取り戻す絶好のチャンスが到来していると考えるべきです。
但し、従来からの発想や取組みを続けている限りは期待もされないし、既存事業の手直し程度で変わるものではありません。むしろ鉄道広告は斬新な発想で付加価値を創造し、鉄道事業がこれまで踏み込んでいない新分野に果敢に挑戦し、鉄道事業の資産や空間の活用、新技術の活用、他媒体との情報連携による開発等々、積極的に挑戦し変革し実行していくことが、何よりも求められているのです。
こうした現状を直視し、この激動の時代と厳しい経営環境下にある鉄道広告を一歩でも前進させ、鉄道事業とともに活力あるビジネスへと踏み出す1年にしたいものです。
新たな1年、会員の皆様の益々の御隆盛と御健勝を心よりお祈りいたします。
以上