公益社団法人 日本鉄道広告協会

JAFRA

環境委員会

ヒアリングレポートvol.3 アド近鉄

環境委員会(冨田栄次委員長)が行った環境に対するアンケートの結果から、環境対策に取り組んでいる各社にヒアリングを行い、会員社の企業規模にかかわらず、取り組めるようなヒントを紹介することで、さらなる啓もう活動を行っていく。
3回目は株式会社アド近鉄を紹介します。

◆ JAFRA環境委員会 会員社ヒアリング

日時:
2021年8月6日(金)14:00〜15:00 Zoom会議
取材先:
株式会社アド近鉄

経営管理本部副本部長 宇田譲
経営管理本部部長 倉本修一

参加者:

JAFRA環境委員会委員長 冨田栄次(大阪オリコミ)
同 副委員長 田中幸夫(大阪オリコミ)
事務局 榎本稔、西井一雅(JAFRA)

敬称略

西井
西井

本日はありがとうございます。環境委員会第3回目のヒアリングは、現在コロナ禍なので、zoomで行います。

まず初めに、環境施策について、御社または、近鉄グループ全体でどのような施策で取り組まれているのか教えてください。

宇田
宇田

当社は、近鉄グループの環境目標に沿って施策を実施しています。近鉄グループには、グループレベルでの環境推進体制があり、これを取りまとめているCSR委員会が全体の方針を定めます。当社もこの方針に沿って施策を実施しています。

当社内では、人事、総務等を管轄している経営管理本部の倉本と私が担当して、経営管理本部がCSR推進方を決め、中心となって推進しています。

西井
西井

節電、ゴミの分別、リサイクルのような具体的な環境施策を教えてください。

倉本
倉本

当社は、交通広告をメインとして扱っていますが、看板の照明をLED化する施策をずっと続けています。
以前は大阪難波駅などの看板でも蛍光灯による内照式が多かったのですが、これを順次LED照明化しており7割くらいは切り替わっています。

さらに看板の裏でなく上からLED照明を当てるという外照化の取り組みも進めています。外照式だとアクリル板で板面を作らなくて済みますので、コストも削減できます。看板の枠、本体自体がスリム化できて、軽量化もできます。廃棄する時にも環境に配慮することができます。

西井
西井

7割ほどLED照明化されたということですが、残り3割も順次進めていくのですか。

倉本
倉本

費用が掛かりますので、経費をにらみながら進めていこうと思っています。それから、社内の事務所の照明もLED化しています。大部分は8年くらい前ですが、2013年2月にほとんどをLED化しました。非常照明などが残っていたのですが、2016年3月に完了してほぼビル全館がLED照明に変りました。

西井
西井

非常灯も含めて2016年3月に全てLED化したということですね。

倉本
倉本

まだほんの一部、特殊な器具を使っているところが少しだけ残っています。

あと取り組みとして、ペーパーレスを進めていて、大きな会議をする時には紙での資料配布をやめ、パソコンを持ち寄って会議をするという施策をしています。

打ち合わせの小スペースにも20インチくらいのディスプレイを設置して、小規模の打ち合わせをする時でもPCをつないでディスプレイで表示してペーパーレス化を進めています。

西井
西井

会議でも極力紙の資料を使わずに進めるということですね。

倉本
倉本

ビル全体にWi-Fiのアクセスポイントを設置しています。また、Wi-Fi対応のPCを全社員に配布していますので、LANケーブルなしでどこでもインターネットにつながる環境になっています。

今年の3月にフリーアドレス化しました。固定席をなくして、どこでも自分の好きなところで業務ができるようにしました。それに伴い、たくさんの書類を一掃するよう、書棚、キャビネット類も処分しました。

ですので、新たな紙の資料が出てきても、保管する場所がない、ペーパーレス化を一層進めて欲しいという意味もあります。

西井
西井

フリーアドレス化することで、書棚などで紙を保存することがなくなるということですね。

倉本
倉本

グループ会社の廃棄物の排出量調査ということで調査資料を出し、チェックを受けています。それはHD(近鉄グループホールディングス)の施策になります。

西井
西井

社内の廃棄物がどのくらいあるのかを調査しながら、なるべく廃棄物を少なくするということで管理しているのですね。

倉本
倉本

事務所は大阪市内にありますので、大阪市の廃棄物のレギュレーションに沿った分別のごみ箱を作って、分別を行っております。

また、社内にウォーターサーバーを設置して、社員の希望者にそれ用のマイボトルを配布しました。ボトルを使うことで、ペットボトルの消費を抑えることが目的です。

宇田
宇田

残念ながらコロナ禍でそのウォーターサーバーが使えない状況で困ったことになっています。

西井
西井

コロナと環境とバランスが難しい状況ですね。

倉本
倉本

8月中に近鉄グループホールディングスよりプレスリリースがあり、グループとして長期的に気候変動対策に取り組み、政府方針の 2050 年の脱炭素社会実現に向け、CO2 排出量を削減していくこととなっているため、今後は、この方針に沿って進めていくことになります。

西井
西井

環境の社内研修は定期的に行われていますか。

宇田
宇田

そこまで大きな会は行われていませんが、ポスターを掲出して経費削減の視点も併せて節電や用紙の削減について社員に通知しています。グループとしての環境目標が示されて大きなものが出たタイミングでできるところから始めていこう、まずはポスターを貼ろう、ということです。

西井
西井

今いくつか取り組まれている環境施策があると思いますが、その中でも特に、こういうことをやったから非常に効果が出ているなということがありましたら教えてください。

倉本
倉本

先ほどお伝えした、会議のペーパーレス化、フリーアドレス化によって社員の意識も変わってきています。会議もペーパーレスで進めていますので、業務の生産性も上がったのではないかと思います。

西井
西井

社員の環境に対する意識の向上と、使用する紙の量も目に見えて減っているということですね。
反対に、これはうまくいかないという事例はありますか。

倉本
倉本

換気をしなくてはいけないので、窓を開けたりして冷房効率がすごく悪く、消費電力が増えてなやましいところではあります。

当社ではフレックスタイムを導入していますので、早く出社して早く帰る人もいれば、遅く出社して遅く帰る人もいるわけで、事務所の照明が点いている時間や、エアコンがついている時間が若干長くなっているので、使わない時は切るようにしています。

西井
西井

環境施策をするというより、現在のコロナ禍で冷房効率が悪くなっていることと、テレワーク含め全員が時間を調整して出社したりするので、事務所で電気の点いている時間が長くなったりしているので、電気使用量はLED化しても照明がついている時間が長くなって電気使用量がどうしても増えてしまうジレンマがありますね。

環境施策を社員の方に徹底してもらうために、今後こういうことをやって社員の環境意識を高めていこうということがあれば、例えば社員教育など、環境に対するビデオを全社員が視聴するといった予定などありましたら教えてください。

倉本
倉本

今のところ、ポスター掲示による節電、用紙の削減、分別回収の呼びかけをしています。在宅勤務が増え、出勤率の低下していることもあり、出勤している社員がいなければそのフロアは照明を切ることも視野に入れつつ模索中です。

西井
西井

コロナ禍であることも含め、全体のバランスをとりながら進めているということですね。

御社独自、近鉄グループでのユニークな環境施策に対する取り組みがありましたら、教えてください。

宇田
宇田

社会的に重要なテーマとなっている環境を含めたSDGsに、当社なりに取り組んでみようという動きがあり、始めたのが、日本初となる募金型デジタルサイネージです。5月27日にプレス発表して6月から運用を開始したものです。

沿線や駅を主な活動拠点としている広告会社として、何ができるかと考えた中での地域貢献活動でもあります。

6月からあべのハルカスのある大阪阿部野橋駅に設置して、協賛企業を通して環境を含めたSDGsの活動への参加を呼び掛けるプロジェクトです。

このことはテレビニュースや外務省のTwitterでも取り上げられました。皆様から頂いた募金は全てNPOに寄付されるため、当社が利益そのものを上げることを目的としていませんが、この活動を通じてつながる会社やNPOとの縁ができるのでそこにも魅力を感じています。

毎月協賛企業を募ってテーマをいただいていますが、先ごろ終わった7月は、SDGsのテーマ15番目の「陸の豊かさも守ろう」という目標を皆様にうったえ、寄付金は公益社団法人大阪自然環境保全協会に渡されることになっています。

大阪阿部野橋だけではなく当社沿線には、名古屋、京都等のターミナル駅もありますので、いずれそういうところでもこの活動を続けていければと思っています。

もう1つはクラウドファンディングです。コロナ禍で交通利用者が減り、当社の売り上げが減っているのですが、従来の事業以外に何かできないか考える専門の総合開発本部という部門を立ち上げ、そこで色んなことをやっていこうと考えた結果、取り組んだ事業です。

「エールレール」といい、3月26日にプレス発表して、3月29日からクラウドファンディング事業を始めました。
クラウドファンディングそのものが近鉄沿線を応援するというテーマとして事業を行っており、様々な課題解決に努めて沿線に貢献していこうということです。この事業は、環境問題と相性がいいなと思っています。

第1弾のプロジェクトが奈良公園です。奈良公園には皆様ご存知のとおりシカがいるのですが、公園に残っているビニールゴミを食べて死んでしまうということがあります。
そのビニールに代わるものとして、シカが食べても大丈夫という紙を作っているところがあります。そういうところを応援していこうというプロジェクトを扱っています。

今後も環境問題やSDGsに関連したプロジェクトがありえると思いますので、環境に貢献できるのではと思っています。

西井
西井

大変興味深い話題を2つありがとうございます。こういう形で環境へ取り組まれている例があまりないので、ご紹介できるのはうれしいです。

他に環境施策に取り込もうとされている他の会員社に向けて、アドバイスがありましたらご紹介ください。

宇田
宇田

会社事業自体として、環境問題のことを扱うということもあるのかなと思います。当社が生き残りをかけて考えた結果の一つとして、クラウドファンディングが出てきました。事業として、環境問題等に取り組むということは、すごくあり得るのではないかと社内のメンバーに気づかされたことです。

SDGsの募金型サイネージも利益目的ではありませんが、やってみたいというメンバーが出てきたということから始まりました。それなりに経費も掛かりますが、チャレンジして社内でもなにか面白いことやっているなという雰囲気になったのではないかと思っています。

アドバイスというにはおこがましいのですが、経費削減というテーマではあるものの、当社の制作部門の若手が集まって特にペーパーレス化についてポスターを作ったり、みんなで考えたり集まったりして、楽しんで活動を行えたということがあります。

管理部門だけで考えているよりは、みんなで考えて納得して楽しんで環境問題に取り組んだ方が、社員には受け入れられるのではないかと思います。

西井
西井

押し付けるということではなく、みんなで考えて環境について取り組むことで、環境に対する意識が高まるということですね。

田中
田中

貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

冨田
冨田

今日はおふたりにお力添えをいただき、本当に有意義な会議になったのでお礼を申し上げます。
環境委員長をして5年ですが、SDGsではないですが、最近の暑さや天気を見ると本当に、環境や天候を含めて大きく変わって来ていると個人的にも感じています。

今からしっかり対応しないと、後世の人に大変な迷惑をかけてしまいますし、地球にも大変な負荷を与えるので、ご紹介いただいたデジタルサイネージ、近鉄沿線クラウドファンディングとか、我々の身近なところでこういう切り口で社会の役に立てるんだと気づかされました。

これがJAFRAの会員の皆様おひとりおひとりに少しでも心に突き刺さればいいかなと思います。
今日は貴重な時間、有益なお話をいただきありがとうございました。

西井
西井

本日はお忙しいところありがとうございました。

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