公益社団法人 日本鉄道広告協会

JAFRA

環境委員会

ヒアリングレポート vol.1 ジェイアール東日本企画編

環境委員会(冨田栄次委員長)では、2016年、環境に関するアンケートをJAFRA会員社に実施した。環境委員会からはポスターやカードを送付しているが、送付物によって変化が現れている会員社もある中、なかなか行動に結びつかない、環境に対する意識が変わっていないという回答が半数近くから寄せられた。今回、環境問題に積極的に取り組んでいる3社に、ヒアリングを行い、その中に会員社の企業規模に関わらず、取り組めるようなヒントがあれば、紹介して啓蒙活動をしていくというのが今回の目的である。1回目はジェイアール東日本企画を紹介します。

◆ JAFRA環境委員会 会員社ヒアリング

日時:
2018年4月10日(火)14:30〜15:30
場所:
ジェイアール東日本企画ミーティングルーム
取材先:
ジェイアール東日本企画 CSR局 局長 武笠邦雄、井上理子
参加者:
環境委員会委員長 冨田栄次(大阪オリコミ)、環境委員会委員 芦刈英雄(TOMOE)、
事務局 加藤潔、西井一雅(JAFRA)

敬称略

芦刈
芦刈

ジェイアール東日本企画(以下J企)はCSR局で、環境施策に取り組まれているということですが、どのような体制でどういうセクションなのか、まずお聞かせください。

井上
井上

CSR局の中に環境推進委員会事務局を設置して、事務局が中心となり、支店・支社も含めJ企全体の環境マネジメントを推進しています。組織的には2つの体制で、「委員会」という経営層が出席する環境推進委員会と各部署の管理部長が中心となり実務を推進する「分科会」があります。事務局を所管するCSR局長が議長となり、会議に議題を提出、目標達成状況や各種法令の注意事項をお伝えしています。
各部署では、事務局が作成した全社共通の「環境目的、目標達成実施計画」を基に取り組み計画を立て、電気量やコピー量、ごみの削減などの推進をしています。

冨田
冨田

環境推進委員会は、経営層の方で、事務局は現場ということですか?

武笠
武笠

毎月1回、局長・支店長会議があり、その後、原則として環境推進委員会を開催します。
また、毎月1回全部署の管理部長が集まる分科会があり、そこで同じことを伝達する場合もありますが、管理部長は実務者ですので、事務局から推進事項等を伝達して、それを持ち帰って各部署でさらに広めるという方法を取っています。

冨田
冨田

環境推進委員会では立案をされますか?

武笠
武笠

事務局で立案したものについて合議を図り、環境推進委員会で決定した内容を、分科会で周知という流れです。

芦刈
芦刈

人数はどのくらいですか?

井上
井上

委員会が50人、分科会が40人くらい。全部署から出席しています。

芦刈
芦刈

ISO14001を取得されているということですが、いつ取られたのでしょうか。

井上
井上

2008年です。

芦刈
芦刈

環境施策に取り組み始めたのも同時期ですか?

井上
井上

それ以前も節電といった一般的なことはしていましたが、ISO14001の認証を取得し、本格的に取り組み始めたのは2008年です。

芦刈
芦刈

アンケートの回答で環境施策を7つご紹介いただきましたが、具体的に概要をお聞かせください。最初に環境マネジメントシステムの推進体制を整備し、環境会議を定期的に開催とありますが、それが今の会議ですね。

井上
井上

委員会と分科会が定例の会議です。

芦刈
芦刈

2番目に環境法規制に関する規程を作成し、周知及び順守評価というのがありますが、分科会で集まった方々が各職場で周知しているということですか?

井上
井上

弊社の場合、環境法規制のメインが廃棄物処理法になりますので、まずは事務局で会社が廃棄物処理法にどう関わっていかなければいけないかをまとめ、規程にしています。
環境目標の1つにも産業廃棄物の適正管理を掲げています。また、この法令の重要点を整理して一覧表(「順守義務一覧表」)にまとめたものを事務局が作成し、分科会で具体的な注意点を説明のうえ、さらにそこから各部署の社員に周知がいくという体制になっています。

芦刈
芦刈

順守評価に関しては、チェック項目はありますか?

井上
井上

年に1回、今お話しした一覧表を基に、環境基本法、省エネ法、廃棄物処理法などが順守できたかどうかについて事務局が評価し、コメントをつけます。問題があれば改善に向けた注意点などを社内にフィードバックします。

芦刈
芦刈

実際にやったかどうかは事務局で確認するのですか?

井上
井上

各部署の実態については、管理部長等が各部署の取り組み結果をまとめて事務局に報告し、事務局が全社評価するという段階を踏んでいます。

芦刈
芦刈

3番目に環境方針と環境目標を設定し、推進、測定、改善のPDCA (plan do check action)サイクルによる運用とありますが、PDCAサイクルによる運用について具体的にお話し下さい。

井上
井上

P(Plan):「環境目的、目標達成実施計画」を、3年を1つのサイクルとして、年度毎に数値目標や取り組み内容を設定。
D(Do):目標達成に向けた取り組みを推進、実行。(不在者スペースの消灯、レスペーパー等)
C(Check):取り組み状況を月毎にチェック、目標達成状況を四半期毎に評価、内部環境監査を3月に実施。
A(Act):マネジメントレビューを年度毎(5月)に実施。
そしてまたP (Plan)に戻るというフローになります。

芦刈
芦刈

年間のまとめですね。4番目に環境教育を実施されているということですが、どのような内容ですか?

井上
井上

環境マネジメント教育訓練計画を年度の初めに策定しています。立場・役割などのニーズに合わせてそれぞれ実施していますが、各部署の推進者となる管理部長はあらゆることを把握していなければいけないので、具体的な取り組みや法令の注意点などについては事務局が分科会で説明します。
入社する社員には、会社の環境目標や取り組み内容、注意してもらいたいことの要点について20分くらいで研修をします。
また、法改正や環境情報がある場合は分科会の席で伝達します。
ただ、やはり全社員に伝えることは難しいので、全社員向けに、1年に1回10問の理解度テストを実施しています。「当社の環境目標には何がありますか」といった基本的なことから「産業廃棄物の排出事業者がどこになるのか」というような少し難しい3択の上級問題や、「イベントで出る産業廃棄物の最終処分の適正な確認方法」、「ISO14001とは」といったことなどを出題します。
それから、後でお話しします内部環境監査の監査員になるための実務的な研修を、外部から専門の講師を招いて実施しています。1年に1回ですが、13名くらいが受講します。

芦刈
芦刈

6番目の内部環境監査員の役割は社内の取り組みをチェックすることですか?

井上
井上

そうです。管理部長がその環境監査員を担っています。

冨田
冨田

先ほどお話のあったテストですが、テキストはあるのですか?管理部長が勉強されて各部署に報告するのかと思いますが。

井上
井上

特にテキストはありませんが、事務局で問題を出して、簡単な補足説明と正解の解説を書いたものを渡しています。基本的な問題が多いので、だいたい8点、9点の正解となりますが、最終的には10問全部、理解していただきたいと考えています。

冨田
冨田

「見える化は」どうしていますか? 例えばコピーの用紙や電気量が削減したというのは御社のどこで把握されていますか?

武笠
武笠

電気量やコピー量の使用実績は事務局で把握しています。

井上
井上

当社の使用量が明確に分かる場合はグラフ化をしていますが、すべてというわけではありません。

芦刈
芦刈

内部環境監査は、どのように実施されていますか?

井上
井上

1年に1回、3月に内部環境監査を行っています。全部署が参加して、2部署1組、50分くらいで相互の部署を監査します。進め方は、事前に各部署で「ワークシート」を基に自己チェックを行います。「自部署における環境の課題にはどんなものがあるか?」「自部署の環境教育はどのように行っているか?」などに記入して、監査本番では個別に質問しながら「ワークシート」にコメントを入れ、「改善する余地がある」から「すばらしい」までの評価を相互に行います。 監査ではありますが、意見交換が行われています。

武笠
武笠

その中で他部署はこんなことをやっているという新たな発見があり、それがレベルアップにつながればいいなということで、組合せも工夫しています。

冨田
冨田

どうしても自己評価だと甘くなって、同じ注視者でも基準が違ってきますよね。動機付けも重要ですね。

井上
井上

「ワークシート」の評価が出て来た段階で事務局がチェックし、突出して不公平がないようにしています。

芦刈
芦刈

7番目にマネジメントレビューのことがあげられていますが、どのくらいの分量になりますか?

井上
井上

インプット情報として、内部環境監査の結果、法令の順守状況、組織の環境パフォーマンス、目標の達成度、環境状況の変化、そしてアウトプットとして経営層による評価やコメントなど、今後の方向性を示しています。全ての項目の要点を書いた報告書は全2ページになります。

武笠
武笠

今年の5月に、前年度のレビューを社長も含めた経営幹部メンバーで構成する環境推進委員会で実施し、異存がなければレビューとして外部の審査機関に提出します。

芦刈
芦刈

アンケートの中で定期的な研修会の実施とありましたが、それは先ほどの教育で出てきた内容と同じですか?

井上
井上

はいそうです。

芦刈
芦刈

最初に導入されてから10年になるということですが、その中で目に見える効果があったというものについてお聞かせください。

井上
井上

近年、明らかに環境意識が全社員に定着した感じがします。弊社が環境について取り組んでいるということだけでなく、世界的に地球温暖化が言われていることもあると思いますが、電気をこまめに切ることやごみを分別するなど、取り組みのチェック表にも以前は△や×がありましたが、最近はほぼ○になっています。地道に実施してきた結果、個人の省エネ意識や環境マナーが定着してきていると思います。

芦刈
芦刈

節電、コピーの枚数は、2〜3年経ったらそこからあまり変わらないような気もしますが、毎年目標を設定することで、更に減っていくものですか?

井上
井上

この数年はすべての対策を実施し尽くし、限界に達し、目標を達成できない時もあります。あらゆる手を尽くしきったところでは、1%減という目標達成が難しい場合もあります。

武笠
武笠

社員数の増加や、業績の向上は、「節減」の話とは相反するものになります。地道な活動を継続していくことで、コピーの量や、ごみの分別といった点では、勤続30年の立場で言うと、意識の高まりは感じています。それが私たちの地道な努力かといえば、社員が自覚を持ってやっているのはとりもなおさず、入社時の研修やこのような活動が効いているかと思います。

井上
井上

特にコピー用紙量に関しては、ここ1年レスペーパーに向けた取り組みが進み、効果が出ています。これも電子化の進んだおかげと思います。

武笠
武笠

JR出身の役員が広告代理店は紙をほとんど使わずに会議をするというイメージがあったけど、意外と紙が多いねと言った話はありました。但し、そういった中でも、徐々に減りつつあります。

芦刈
芦刈

環境施策を社員に日々徹底させるような方策はありますか?

井上
井上

会社独自の環境方針ポスターを掲示し、ごみ捨て場には必ず分別表示をしています。ポスターのデザインを工夫している部署もあります。

西井
西井

具体的に何を捨てるかというのは、ごみ箱ごとに絵をつけている部署もあります。

井上
井上

電気のスイッチのところに、こまめに消灯できるように区画エリアを表示するなど、独自の工夫をしている部署があります。特に支店では実行されています。誰もいない場所は極力電気を消して欲しいと考えています。

冨田
冨田

御社で作成した看板やポスター類などは、どう処理していますか。

武笠
武笠

商売として使っているものは法令に則って廃棄物処理をしています。

冨田
冨田

大阪は契約している廃棄物処分する協力会社のモラルにかかっています。

井上
井上

協力会社から産廃業者へ、適正な処分をしていただくようお願いしたうえで、発注者として最終処分が終了したかどうかの確認をしています。

冨田
冨田

トレースされているのですね。

武笠
武笠

マニフェスト伝票のE票をチェックします。
最終処分終了後、処分業者から排出事業者(ここではJ企)に返送され、排出事業者が最終処分終了を確認する伝票。

冨田
冨田

我々、中小の会社は、むしろ節電や、ごみの分別とか、一番できるところからやっていかないと。

武笠
武笠

ごみ、電気も限界に来ている部分もあります。では、あと「環境に優しい企画提案」についてご説明します。

井上
井上

レスペーパー、ごみの分別、節電は環境によくないことを減らす方向の目標ですが、逆に環境によいことを社会に向けて行っていこうという目標が「環境に優しい企画提案」です。例えば営業で、環境に優しい素材を使ったノベルティを提案することや、今では当たり前になっていますが、照明をLED化する、蓄電池を使用するといった環境に優しい企画をクライアントにどんどんプレゼンしましょうという趣旨の目標を立てています。これは広告代理店ならではの目標設定です。

芦刈
芦刈

冒頭で申し上げましたように、JAFRAの会員社では意識がなかなか変わらなかったり、行動に結びつかなかったりという現状があります。環境施策にこういうところから取り組んでいったらというようなアドバイスがありましたら。

井上
井上

推進者の方は積極的に実施しているのに、社員はそれほどでもないというように個人差があります。家庭でエコのことを考えている方はもちろん会社でも取り組んでいるので、どうやってあまり環境に対して関心のない方に意識してもらうかということが事務局の課題です。先ほど例にあげましたが、見えるところにわかりやすく表示をすることはもちろんですが、面白いコピーやデザインなど、心に訴えかけるビジュアルを、クリエイティブの力を借りて考えていきたいと思っています。押し付けになると、こういうことはうんざりしてしまいます。ごみの分別にまで気が回らない慌ただしい中で、ちょっと楽しみながら、はっとさせられながら、ごみを分別する、電気を消すという意識を持てるように取り組みを進めていきたいと思います。

芦刈
芦刈

会員社には広告代理店が多いので、そういう方法であれば、参加意識は高まりそうな気がします。

冨田
冨田

管理部長の方にはあなたが担当ですよと指定するのですか、それとも手を挙げてもらうのですか?

武笠
武笠

管理部長はそれぞれの部署にいますので、その方が推進委員のメインにあたっていただくのは必須で、その他は適性があると周囲が認めたり、他薦で内部環境監査員の資格を取らせたいとか、中には自ら手を挙げる人もいます。

冨田
冨田

報告書を作られる管理部長方は大変ですね、売上げを上げなければいけないし、こういうこともしなくてはいけないし。

井上
井上

管理部長を補佐する社員がいる場合もあります。

西井
西井

分別もかなり細かくやっていますね。

井上
井上

入居しているビルの分別ルールに準じています。

加藤
加藤

分科会を通じて広く社員に広げるということですが、環境でもこうした方がベターというのと、マストであるというように法律で縛られてない部分と縛られている部分があると思いますが。

井上
井上

必ずしなければならないのは産業廃棄物の徹底管理です。営業件名で発生する産業廃棄物については、産廃業者の選択から始まり、マニフェスト、最終処分の確認まで、事務局が相談にのったりしながら管理をしています。

加藤
加藤

御社内で、廃棄物処理法について、その内容を周知していますか。

井上
井上

法令を読むと難しいので、廃棄を行う担当者と事務局で打合せを重ねています。

武笠
武笠

何を廃棄するか、どこにお願いするか、資格を持っているかということが入り口です。一度行うとそれぞれの担当も勉強になるので、体験するのが一番いいと思います。

芦刈
芦刈

看板などの産業廃棄物はたくさんありますか?

井上
井上

営業件名で発生する産業廃棄物があります。建設工事、ノベルティなどを合せて年に4〜5件程度あります。それとはまた別に、当社が発注者として発生する産業廃棄物は多数あります。

武笠
武笠

あえて申し上げることでもありませんが、JR東日本はJ企やグループ会社に、環境も含め、コンプライアンスを徹底させるためのガイドブックを配布します。昨年7月に4版目が出ましたが、この中でも環境保全にページをさいて解説されています。産業廃棄物などに関心を寄せる習慣をつけるということも社員教育の一つとしてつながっていくかと思います。

冨田
冨田

お恥ずかしい話ですが、環境で産業廃棄物がこれ程重要視され、上位にあるとは思いませんでした。我々はどうしてもリサイクル、電気とかコピー、環境に優しいといった企画提案をしていますが、中小の代理店ではこんなに重要な問題だとは恐らくそれほど認識していないのではないかと思います。

西井
西井

コピーや電気については、やっている会員社も多く、わりと徹底されているとアンケートでも回答がありましたが。

井上
井上

接触する量からするとコピーや電気が圧倒的に多いのですが、何かあった時に大きな問題になるのは産業廃棄物の方なので、上位にしています。

冨田
冨田

レポートでも強調した方がいいですね。

西井
西井

普通の鉄道広告というより看板を取り扱っている会員社がかなり多いので、産業廃棄物についてはもう少し啓蒙していかないといけないのかなと思います。
公益事業として環境は柱になっているので、きちんとやっていくというのはあります。こういう形でヒアリングできるのは助かります、ありがとうございます。

芦刈
芦刈

大変参考になりました。本日はありがとうございました。

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